認知症外来
2023年6月23日
認知症外来
当院では認知症に対し「認知症外来」として特別にじっくり時間をとり、本人の為・ご家族の為にお話しすることができます。
そこで認知症?と認知症外来について順を追って簡単に書いてみます。
1,老化と加齢性変化と疾患
<老化とは…>
<加齢に伴う生理的変化や疾患>
2,認知機能不全症候群Cognitive dysfunction syndrome (CDS)
<高齢性認知機能不全>
3,診断と治療・対応
<診断と診断基準>
<治療と対応>
4,認知症外来
<認知症外来>
<予防や高齢期の準備として>
まずは当院の「認知症外来」の話の前に、まずは老化と加齢性変化と疾患について…
1,老化と加齢性変化と疾患
<老化とは…>
老化の定義として一般的に「身体の成熟後に、加齢に伴い起こる非可逆的な生理機能の衰え」と言われています。病気ではありません。
<加齢に伴う生理的変化や疾患>
老齢性変化、老衰と軽く表現しますが、ヒトと同様に、様々な機能低下や疾患に由来する変化が起こります。加齢により感覚機能低下それによる不安増加・反応性の変化や筋力の低下、関節炎による活動性の低下が起こります。また腎機能低下や内分泌疾患による行動変化、痛みに由来する攻撃の増加や訴え、歯科疾患による食欲低下など、表現やサインは様々で多岐にわたります。
加齢に伴う生理的な変化や発症する疾患の多くは、根本的な対応が難しく、日々の生活の中の負担を減らすことに焦点があてられます。その為、加齢に伴い生じた変化・疾患なのか、認知機能不全症候群のみなのかを見極め、内科・外科さらに、「行動療法」を組み合わせて対応してくことが大切です。
ワンニャンが表現しているサインは、認知症のサインではなく加齢性疾患のサインかもしれませんよ…。
2,認知機能不全症候群Cognitive dysfunction syndrome (CDS)
<高齢性認知機能不全>
いわゆる「認知症」はかつて「痴呆症」「認知機能不全」など言われてきましたが、現在は高齢性認知機能不全もしくは認知機能不全症候群Cognitive dysfunction syndrome (CDS)と言われるのが一般的です。
CDSは変性性疾患であり、認知力の異常など、臨床徴候は5種類の行動変化(DISHA)を認めます。
3,診断と治療・対応
<診断と診断基準>
診断は除外検査が中心となります。身体検査、視診や各種一般検査(血液・尿便検査、レントゲン検査、超音波検査ホルモン検査など)、脳疾患の診断、MRI検査・脳波検査などを行い、行動的変化による診断 (質問票の利用、点数)などから診断します。動画記録などもあると獣医師はとても助かります。CDSは、医学的疾患の可能性を排除し、飼い主が耐えることのできない高齢性行動変化でとして、専門の質問票を利用し、他の行動学的問題や正常な要求の可能性を検討することで総合的に診断します。
<治療と対応>
現在のところヒトの認知症と同様、CDSの根本的な治療法はありません。個々の本人やご家族に合う「効果の期待できること」を行い、進行をできるだけ遅らせ、ご家族と本人のQOL(生活の質)を維持向上させることとなります。
ご家族の理解と協力がとても重要となり、環境や行動修正、薬物療法や栄養食餌療法、介護の方法などそれらの詳細や具体的な方法やグッズは、「認知症外来」時に、数多くの例を挙げ様々な提案をしています。
CDSは、脳神経疾患との鑑別も重要となる為、軽く自己判断せず、診断や治療は獣医師に任せてください。
4,認知症外来
<認知症外来>
前述したように、CDSの診断治療管理には、ご家族の理解が大変必要となります。その為、通常の外来時間では十分なお話ができません。そこで当院では認知症CDSについて、診察の時間外に個別に時間をとりお話いたします。
さらに詳しくCDSについて、診断、背景、行動療法、治療、サプリ栄養など、今までの臨床経験をふまえ、ご指導いたします。
まずは一度一般診療に来ていただき、簡単なご説明とこれからの流れについてお話をします(初診の方のみ)。その後、「認知症外来」の予約をしていただきます。認知症外来は「オンライン診療」の対応もできます。
対応と治療は決まったものがあったり、一つではありません、本人とご家族に合ったものを行うことになります。
ご家族のライフスタイルに合わせてできることを当院が一緒に探していきます。
詳細や費用、不明点などあれば受付スタッフまでどうぞ。
<予防や高齢期の準備として>
CDSは原因も確定、特定できていない為、確実な予防は難しいですが、「認知症外来」にてCDSの進行を遅らせる効果が期待できるお薬やサプリ/栄養剤、日頃の生活のなかでできることなどをご提案いたします。持病や加齢性疾患のコントロールを行いつつ、生活環境や生活習慣の改善、そしてご家族に理解と協力を得ること、それらを動物病院としてバックアップいたします。
認知症CDSに対し不安を持たれていたり、現在悩まれているご家族…
よかったら一度お話を聞きに来てください。